笛の音よ、永久にひびけ10
かえでが驚いてみていると、森の
木がみんな横たおしになってしま
いました。
「いよいよ、わしの番か。
さぞ、痛いだろうな」
そう思った時、耳元で「チェーーン」
という高い音がしました。
「ばさりっ」
かえでの木のたおれる音が、丘の上
にひびきわたりました。
かえではあまりの痛さに顔をしかめ、
そのまま失神してしまいました。
気がついた時には、かえでは一メー
トルくらいの長さに切られていました。
そして、他の木といっしょに、高原の
ふもとへ運ばれました。
たくさんの木だったので、森の木はそ
のまま何カ月も積まれたままでした。
つづく
前回の分は、こちら。
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100829#p1
初めて読んでくださったかたへ
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100821#p2
「笛の音よ、永久にひびけ」は、
スキー大会の会場をつくるために
きりたおされた、信州の志賀高原
の樹令200年の楓のお話。
童話「笛の音よ、永久にひびけ」
は、みほようこの四冊目の童話集・
「ライオンめざめる」に収録され
ています。