笛の音よ、永久にひびけ11
雨が降ったり、風が吹いたりして、
どの木もだんだんに枯れていきま
した。
「私たちは、これからどうなるの
だろう。いつまで、こんな所に横
たわっているのだろうか」
「なにかに利用してくれると、う
れしいのだが・・・」
「人間たちは、森の木を一本残ら
ず切ってしまった。
山くずれなどの災害がおきなけれ
ばよいがのぅ」
「山が丸裸になれば、ふもとの村
や町に住んでいる人間たちは、お
いしい水を飲むこともできなくな
るだろう。
海や川にすんでいる魚や貝たちも
こまるだろうね」
「森の動物たちは、これからどこ
で暮らすのだろうか。
森の仲間たちのことが心配だね」
切りたおされたたくさんの木は、
口々になげき悲しみました。
つづく
前回の分は、こちら。
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100830#p1
初めて読んでくださったかたへ
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100821#p2
「笛の音よ、永久にひびけ」は、
スキー大会の会場をつくるために
きりたおされた、信州の志賀高原
の樹令200年の楓のお話。
童話「笛の音よ、永久にひびけ」
は、みほようこの四冊目の童話集・
「ライオンめざめる」に収録され
ています。