笛の音よ、永久にひびけ


  笛の音よ、永久にひびけ12


小雪の舞う、寒い季節になりま
した。
若者が、高原にやってきました。
若者は、コカリナ(木でつくった
タテ笛)の奏者でした。



スキー大会の会場を作るために
切りたおされたたくさんの木を
みて、若者はこれらの木を生か
す方法はないものかと考えました。



切りたおされた木の中でも、か
えでの木はみごとでした。
「なんて大きなかえでの木だろう。
せめてかえでの木だけでも、な
んとか生かしてあげたいものだ。



そうだ。かえでの木で笛を作った
らどうだろう。
きっとすばらしい笛ができるにち
がいない」
若者は、そう思いました。



「笛を作りたいのですが、かえで
の木をゆずっていただけませんか」
若者は、責任者の人にたのみました。


               つづく



   前回の分は、こちら。


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100831#p1



   初めて読んでくださったかたへ


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100821#p2



「笛の音よ、永久にひびけ」は、
スキー大会の会場をつくるために
きりたおされた、信州の志賀高原
の樹令200年の楓のお話。



童話「笛の音よ、永久にひびけ」
は、みほようこの四冊目の童話集・
「ライオンめざめる」に収録され
ています。