笛の音よ、永久にひびけ16
協力してくれた村の人々や、かえ
での木が大好きだったこどもたち
のために、若者はかえでの笛でい
ろいろな曲を演奏しました。
二百年もの間、村の人々を守って
くれたかえでの木の精が、その笛
の中に宿っているような、清らか
な音色でした。
村の人々は、若者が奏でる清々し
い笛の音に、時間も忘れうっとり
と聞きほれました。
こうして、切りたおされたかえで
の木は、一人の若者によって、コ
カリナとよばれるすてきな笛に生
まれかわりました。
若者は、村の人々が帰った後も、
いつまでもいつまでも笛をふき続
けました。
笛の音は、遠くふもとの村までひ
びきわたりました。
つづく
前回の分は、こちら。
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100904#p2
初めて読んでくださったかたへ
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100821#p2
「笛の音よ、永久にひびけ」は、
スキー大会の会場をつくるために
きりたおされた、信州の志賀高原
の樹令200年の楓のお話。
童話「笛の音よ、永久にひびけ」
は、みほようこの四冊目の童話集・
「ライオンめざめる」に収録され
ています。