ライオンめざめる


   ライオンめざめる9


そのちょうは、くじゃくの羽の
ような、鮮やかな色をした赤い
ちょうでした。
ちょうの羽には、大きな目玉の
ようにみえるもようがついてい
ます。



ちょうをじっとみていると、かな
はだれかにみつめられているよう
な気がしました。



しばらくすると、あっちの方から
一匹、こっちの方から一匹と、た
くさんのちょうが、松虫草のまわ
りに集まってきました。
ちょうの数は、何百匹。いや何千
匹でしょうか。



集まってきたちょうたちは、かな
とりゅうのまわりを、楽しそうに
ひらひらと舞い始めました。
だれがふいているのでしょうか。
どこからか清らかな笛の音も聞こ
えてきます。
ちょうたちは、その笛の音にあわ
せ、楽しそうに舞っています。


            つづく



    前回の分は、こちら。
  

http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100917#p1



    初めて読んでくださったかたへ


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100910#p2



信州の「霧ケ峰高原」を訪れた時に、
諏訪の「風の神様」から聞いた話。


童話「ライオンめざめる」は、
みほようこの四冊目の童話集
「ライオンめざめる」に収録され
ています。








    「ライオンめざめる」裏表紙