女神さまからのおくりもの58
「とうちゃんは家柄が大事だとい
うけれど、私は庄屋の娘として生
まれ、清太さんは貧しい家に生ま
れたというだけのことではないか
しら。
もし私が貧しい家の娘だったら、
とうちゃんは自分の息子とつきあ
うのを反対するの」
吉衛門は、なにもいえませんでした。
「きよ、正直にいおう。
とうちゃんは、清太が大好きだ。
清太は、誠実な心のやさしい青年だ。
体も丈夫だし、自分の考えもしっか
り持っている。
その上働き者だ。家柄のことを除け
ば、清太はきよの結婚相手として、
もうしぶんのない青年だ」
「とうちゃん。私は、本人がしっか
りしていれば、育った環境など気に
しなくてもいいと思うけれど」
「きよ。そうはいかない。とうちゃ
んのわがままだということは、よく
わかっている。
とうちゃんは、庄屋の娘が使用人と
結婚したなんて、人からいわれたく
ないのだ」
つづく
前回の分はこちら。
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20101126#p1
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