女神さまからのおくりもの


 女神さまからのおくりもの68


「清太、元気でくらすのだよ。
幸せになっておくれ」
吉衛門は、なごりおしそうにいい
ました。



わしは、きよも清太も、どちらも
手ばなしたくない。
二人とも、自分のそばにいてほしい。
わしに勇気があったら、二人を結婚
させてあげられるのに。



きよ、そして清太。勇気のない私を、
どうか許してほしい。
吉衛門は、心の中で二人にわびました。



「では、これで失礼します。
明日は早いので、あいさつをしない
で出かけます。
どうかみなさまによろしくお伝えく
ださい。
八年間、いろいろお世話になりました」
そういって、清太は、吉衛門の部屋
をでました。



その日。
清太は、いつもより念入りに、馬小
屋の掃除をしました。
そして、馬たちを小川へつれていき、
ていねいに馬の体を洗いました。
どの馬も、みちがえるようにきれい
になりました。


            つづく



    前回の分はこちら。
   

http://d.hatena.ne.jp/youko510/20101206#p1



    初めて読んでくださったかたへ


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