竜の姿をみた少女


 竜の姿をみた少女8


「三郎さまって、だれのことかしら。
竜になった三郎のことかな」
かなは、そう思いました。


 
それから、二週間がすぎました。
かなは、またしらかば湖へ行き、ぼん
やり湖をながめていました。
「少女よ。おまえは、ほんとうにしら
かば湖が好きなんだね」



ふりむくと、白いひげのおじいさんが
立っていました。
みたことのないおじいさんです。
白い着物をきて、白い頭巾をかぶった、
上品なひとでした。
おじいさんは、長い杖をついています。
杖には、竜の顔がついていました。



「わしはのぅ、昔この村に住んでいた
ものじゃ。ここは、のどかでいい所じゃ
のぅ。わしは、この村が大好きじゃ。
だから、ときどきここへ遊びにくる。


             つづく



     前回の分は、こちら。


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20110807#p2






童話「竜の姿をみた少女」は、
みほようこの五冊目の童話集
「竜の姿をみた少女」に、収録
されています。
2009年12月、「鳥影社」
から、発行されました。



童話集「竜の姿をみた少女」は、
「しらかば湖」と「白駒池」を
訪ねた時に、信州諏訪の「風の
神様」から聞いた話。
風の神様からのおくりものシリ
ーズ5。





   収録されている童話

  ・ 竜の姿をみた少女

  ・ 女神さまとの約束



       裏表紙