竜の姿をみた少女15
「いぬのふぐりの花が、咲きはじめた
ころかしら」
「そうか。かなは、しらかばたちが話
をしているのを、聞いてしまったのか。
わしも、しらかばたちとよく話をする。
しらかばがね、この村には湖が大好き
な少女がいるんだよって、かなのこと
を話してくれた」
「おじいさん。とうちゃんもね、しら
かば湖には、竜がいるかもしれないよ
って、いっています」
「そうか。かなも、そしておとうさん
も、今でも湖に竜がいると信じている
のか」
おじいさんは、にっこり笑いながら、
「かな。今日は、いいものをみせてあ
げよう。ちょっと待っていておくれ」
そういうと、おじいさんはどこかへ消
えてしまいました。
「がばっ」
「がば、がばっ」
「ばしゃっ」
遠くで大きな音がしました。
そして、湖に大きな波がたちました。
つづく
前回の分は、こちら
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20110825#p2
童話「竜の姿をみた少女」は、
みほようこの五冊目の童話集
「竜の姿をみた少女」に、収録
されています。
2009年12月、「鳥影社」
から、発行されました。
童話集「竜の姿をみた少女」は、
「しらかば湖」と「白駒池」を
訪ねた時に、信州諏訪の「風の
神様」から聞いた話。
風の神様からのおくりものシリ
ーズ5。
収録されている童話
・ 竜の姿をみた少女
・ 女神さまとの約束
裏表紙