福寿草になった少女


   福寿草になった少女 16


一人で留守番をしているうちに、
福は守屋山に咲いているという黄
金色の花が、むしょうに見たくな
りました。
「福や、一人で遠くへ行ってはい
けないよ」
いつも両親にいわれていたのに、
福は一人で守屋山へ行ってみよう
と思ったのです。



福は、お守りの鈴を首にかけると、
守屋山にむかって、細い急な道を
登って行きました。福が歩くたび
に、「リーン・リーン」と、鈴の良い
音がします。



「黄金色の花って、どんな花かしら。
どんな形をしているのかしら」
福の頭の中は、黄金色の花のことで
いっぱいでした。


       つづく