竹取物語

[童話]竹取物語


   竹取物語 117


第八章 帝のお召しに応じないかぐや姫 20


それなのに、前世の因縁により、この世に生
まれました。もうすぐ月の都へ帰る時がきま
した。今月の十五日に、月の国から迎えにく
ることになっています。私は、月に帰らなく
てはならないのです。二人がこのことを知っ
たら、悲しむだろうと思い、この春以来、悩
んでいました」
そういって、姫ははげしく泣きました。


「姫、何をいうのだ。竹の中で、姫をみつけ
た時には、三寸位だったのに、今ではじいの
身の丈と同じ位になった。じいが大切に育て
た姫を、誰が迎えにくるというのだ。そんな
ことは、じいが許さん。もしそんなことにな
ったら、じいが死にたい」


         つづく