竹取物語

[童話]竹取物語


竹取物語 130


第九章 帝、かぐや姫の昇天を確かめる 11


かぐや姫を大切に育て、二十余年がすぎ
ました。わずかな時間と聞き、疑わしく思
います。別の所に、かぐや姫という人がい
るのではありませんか。ここにいるかぐや
姫は、重い病気にかかっているので、外に
は出られません」


屋根の上に、かぐや姫が乗る車を寄せると、
天人がいいました。
「さあ、かぐや姫。こんな穢れた所に、な
ぜ長い間いるのですか。出てきなさい」と。


姫を閉じこめてあった塗籠の戸も、自然に
開いてしまいました。
おばあさんは、抱いていたかぐや姫が、籠
の外へ出てしまったので、泣いています。


        つづく