火とぼし山

[童話]火とぼし山


火とぼし山 1


プロローグ 1


星のきれいな夜でした。


  みしっ、みしっ。
  ぱりっ。
  バリバリッ。
  ばしゃっ。


諏訪湖の方から、大きな音が聞こえてきま
した。


「あなた。明神さまは、今夜も奥さまのと
ころへでかけたのね」
「奥さまのことが心配なのだろう。なにし
ろ、二人は仲のいい夫婦だから」
「そんなに心配なら、奥さまといっしょに
暮らせばいいのに」
「いろいろ事情があるのだろう」
足長と手長は、いつも明神さまのことを心
配しています。


         つづく