火とぼし山

[童話]火とぼし山


火とぼし山 4


第一章 次郎、西の村へ 2 


「何年か前、福寿草をみに、守屋山へ行ったこ
とがあったね」
「おぼえている。あれは、七年前の春。私が十
才、次郎さんが十五才の時。朝早く起きて、守
屋山へ行った」
「守屋山へ着いてから、福寿草を探して、山の
中をあちこち歩きまわったね」


「でも、その日、福寿草の花をみつけることが
できなかった。 あきらめきれず、次の日曜日、
また守屋山へ行ったね」
「二回目に行った時も、福寿草の花はなかなか
みつからなかった。あきらめて帰ろうとした時、
ふもとの畑の土手に、黄金色の花が咲いていた。
きれいだったね」


         つづく