火とぼし山

[童話]火とぼし山


火とぼし山 10


第一章 次郎、西の村へ 8 


春は、座禅草を。
初夏には、れんげつつじを。
夏には、日光きすげを。
秋には、松虫草やすすきをみに行きました。
年頃になった二人は、いつしか強く心をひかれる
ようになっていたのです。


三日後。
次郎は、西の村へ引っ越していきました。
「次郎さん。約束を忘れないでね。七日後、会え
るのを楽しみにしているわ」
「おらも、きよちゃんに会えるのを、楽しみにし
ている」
次郎は、なごりおしそうに西の村へ引っ越してい
きました。


       つづく