火とぼし山

[童話]火とぼし山


火とぼし山 11


第二章 再会 1 


今日は、次郎と会う日。
早めに仕事を終えたきよは、西山に太陽が沈む
頃、次郎が住む西の村に向かって出発しました。
「とうちゃん、かあちゃん。行ってきます」
「きよ、気をつけて行くのだよ。次郎君によろ
しくな」
父と母が、庭先まで見送ってくれました。


「今夜は、次郎さんに会える」
そう思うと、心がはずみます。
何時間もかかる遠い道のりも、真っ暗な夜道も、
次郎に会えると思うと少しも苦になりません。
しばらく行くと、あたりが真っ暗になりました。
きよはあかりに火をともし、諏訪湖のまわりを
足早に歩いて行きました。
「次郎さん。早く火をたいてね」
きよは、心の中で祈りました。


        つづく