火とぼし山

[童話]火とぼし山


火とぼし山 14


第二章 再会 4 


「次郎さんに食べてもらおうと思って、持って
きたの。食べて」
きよは、次郎にむすびをわたしました。
「うまいっ」
「おいしいでしょ。次郎さん」


「うん、うまい。きよちゃん、中に入っている
梅ぼしも、おいしいね」
「その梅ぼし、私がつけたの」
「へぇー、上手につかっているね。きよちゃん。
このむすび、温かいけれど、どうしたの」
「私、手で温めながら、歩いてきたの」
二人は、ならんでむすびを食べました。


「次郎さん。今、どんな仕事をしているの」
「田んぼの草取りや、野菜の収穫をしている。
蚕も飼っているよ」
「蚕を?」


          つづく