火とぼし山

[童話]火とぼし山


火とぼし山 18


第三章 湖の氷の上を歩く娘 1


北風が吹く寒い季節になりました。
諏訪湖には、氷がはっています。
今日は、次郎と会う日。
きよは、湖の氷の上を歩いて行こうと思いま
した。
でも、湖の氷はまだ薄く、氷の上にのぼると、
「みしっ」「ばりっ」と音がします。


こんな寒い日に、湖に落ちれば死んでしまい
ます。
きよは、氷の厚そうな所をみつけ、そろそろ
と歩いていきました。
「おや? 氷の上を、誰か歩いてくる。誰だ
ろう」
明神さまは、あわてて岸にあがりました。


        つづく