火とぼし山

[童話]火とぼし山


火とぼし山 23


第三章 湖の氷の上を歩く娘 5


「ただいま」
「おかえりなさい。遅いから心配していたのよ」
奥さんが、ほっとした顔でいいました。
「ここへくる途中、湖の氷の上で、娘に会って
のぅ」
「娘さんに?」


「湖の氷は、まだ薄い。娘が湖に落ちたら大変
だと思って、そっと後をつけたのじゃ。 娘は、
青年に会うために、山の中へ入っていった。う
らやましいくらい仲のいいカップルだったよ」
明神さまは、奥さんに娘の様子を話しました。


その夜。
明神さまは、家来の手長と足長をよびました。


        つづく