火とぼし山

[童話]火とぼし山


火とぼし山 29


第四章 一ヶ月に一度の出会い 3


「次郎さん。いつものお酒よ」
「きよちゃん。このとっくり、どうしたの。
すごく熱い」
「いつものように、手で温めてきただけよ」
きよはそういったけれど、手で温めてきた
だけで、こんなに熱くなるものだろうかと、
次郎は疑問に思いました。


「きよちゃんの手は、温かいんだね。ちょ
っとさわっていい」
「どうぞ」
きよは、手をさしだしました。
その手は、びっくりするほど熱い手でした。
「きよちゃん。熱があるんじゃない? だ
いじょうぶ」
次郎が心配して聞きました。


        つづく