火とぼし山

[童話]火とぼし山


火とぼし山 30


第四章 一ヶ月に一度の出会い 4


「熱なんてないわ。次郎さん、心配しないで。
私の手は、いつも熱いの。さあ、冷めないう
ちにお酒を飲んで」
きよは、次郎に酒をすすめました。


「うまいっ」
次郎は、こんなおいしい酒を飲んだのは、初
めてでした。
会うたびに、きよちゃんが持ってくる酒が熱
くなっている。
きよの自分に対する思いが、日ごとに強くな
っていることに気づき、次郎はとまどいました。


        つづく