火とぼし山

[童話]火とぼし山


火とぼし山 38


第四章 一ヶ月に一度の出会い 12


「とうちゃん。私たち、けんかは一度もした
ことはないわ。次郎さんは、野良の仕事が忙
しいの。だから、会えないんだって」
「そうか。それならいいけれど。このごろ元
気がないから、どうしたのかなと心配してい
たのだよ。仕事がひまになれば、また会えるさ」
おとうさんは、きよをなぐさめました。


「とうちゃん。ごめんね。ほんとは、仕事が
ひまになっても、次郎さんとは月に一度しか
会えないの。私、さみしい」
きよは、心の中でそっとつぶやきました。


         つづく