火とぼし山

[童話]火とぼし山


火とぼし山 39


第五章 次郎の見合い 1


一カ月がすぎました。
今日は、次郎と会う日。
きよにとって、この一カ月は、気が遠くなる
ほど長い時間でした。
後二十九日、後十五日、後八日・・・と、次
郎に会える日を指おり数えて待っていました。
「次郎さんに会いたい」
「次郎さんの笑顔がみたい」
この一ヶ月、きよは次郎のことばかり考えて
すごしました。


西山に太陽が沈む頃、きよは次郎が住んでい
る村に向かって出発しました。
「今日は、次郎さんに会える」
そう思うと、心がはずみました。
きよは、次郎の笑顔を思いうかべながら、湖
のまわりを足早に歩いて行きました。


        つづく