火とぼし山

[童話]火とぼし山


火とぼし山 41


第五章 次郎の見合い 3


「おこらないで聞いてくれる」
「何なの、次郎さん」
「きよちゃんには、今まで何でも話してきた。
おれ、かくしごとをしたくないので、おもい
きって話す。きよちゃん、おこらないでね」
次郎は、再び念をおしました。


「実は、十日ほど前、主人から姪と会ってほ
しいといわれた」
「見合いをするということ」
「そうらしい。でも、おらは、その場でこと
わった」
「次郎さん。ことわったなら、そんな話しな
くてもいいのに」
きよは、次郎の気持がわかりませんでした。


         つづく