火とぼし山

[童話]火とぼし山


火とぼし山 42


第五章 次郎の見合い 4


「ことわったけれど、どうしても姪と会って
ほしいというんだ」
「次郎さんは、その人と会うつもりなの」
「いや、会うつもりはない。おらには、きよ
ちゃんという大事な人がいる。だから、会う
つもりはない」
次郎は、きっぱりいいました。


きよは次郎の気持を聞き、安心しました。
でも、次郎さんは、はっきりいやといえない
人だから、ことわりきれずにその人と見合い
をするのだろうなと、きよは思いました。


次の朝。
「ねぇ、次郎さん。今度はいつ会えるの」
きよが、いつものように聞きました。


         つづく