火とぼし山

[童話]火とぼし山


火とぼし山 44


第五章 次郎の見合い 6


次郎さんたら、一カ月ぶりに会ったというの
に、見合いの話などして、どういうつもりな
のかしら。いやな次郎さん。でも、次郎さん
がこっそり見合いをしたら、それもいやだろ
うなと思いました。


私は、小さな時から、次郎さんが大好きだっ
た。そして、今も大好き。
でも、次郎さんは、どうだったのだろう。私
のほかにも、好きな人がいたのではないだろ
うかと、きよは思いました。

  
一ヶ月後。
きよと次郎は、再び会いました。
「次郎さん。姪の人と見合いをしたの」
きよが、さりげなく聞きました。


        つづく