火とぼし山

[童話]火とぼし山


火とぼし山 48


第五章 次郎の見合い 10


十日がすぎました。
明神さまは、いつものように、村内のみまわり
に行きました。
桑畑を通りかかると、若者が桑の葉をつんでい
ました。
「どこの若者だろう」
若者の顔をみた明神さまは、あっと声をあげそ
うになりました。
きよの大好きな人、次郎だったからです。


その時。
「次郎さーん。私よー」
どこからか、女の人の声が聞こえてきました。
みると、桑畑の向こうから娘が走ってきました。


        つづく