火とぼし山

[童話]火とぼし山


火とぼし山 49


第五章 次郎の見合い 11


「きよが、次郎に会いにきたのだろうか」
明神さまは、そう思いました。
でも、きよではありません。
みたことのない娘でした。
明神さまは、あわてて桑のかげにかくれました。


「次郎さん、こんにちは」
「みよちゃん。どうしたの」
「私、次郎さんに会いたくて、ここへきたの。
次郎さんに会えて、うれしいわ」
娘が、うれしそうにいいました。
「みよちゃん。よくここがわかったね」
「おじさんに教えてもらったの」
「そうか。桑畑で、みよちゃんに会えるとは思
わなかったな」
次郎が、にこにこしながらいいました。


          つづく