火とぼし山

[童話]火とぼし山


火とぼし山 58


第六章 湖を泳ぐ娘 6


「だいじょうぶ、次郎さん。気をつけて泳ぐから。
今夜は明るかったから、泳ぎやすかったわ。湖の
水が、きらきら光って、とてもきれいだった」
きよがいいました。
「きよちゃん。いくら明るくても、昼間とはちが
うんだよ」
「たとえ、真っ暗でも、次郎さんがともしてくれ
る火を目印に泳いでくるから平気よ」


きよのことばを聞き、自分がともす火が、どんな
に大切な火であるかということを、次郎は知りま
した。
そして、「きよちゃんは、おらがともす火を目印
に、ここへたどりついているのだな」と、次郎は
思いました。


          つづく