火とぼし山

[童話]火とぼし山


火とぼし山 63


第六章 湖を泳ぐ娘 11


きよちゃんが、いくら泳ぎが達者でも、こんな
に早く湖を泳いでくるなんておかしい。
どう考えても、変だ。
きよちゃんは、魚になったような気がするとい
っていたが、魚になどなれるわけはない。


きよちゃんには、諏訪湖に住んでいる魔物がと
りついているのではないだろうか。
ひょっとして、きよちゃんが、その魔物だった
りして。
そういえば、きよちゃんが持ってくるとっくり
は、驚くほど熱い。
きよちゃんの手は、たしかに熱いけれど、あの
とっくりの熱さは異常だ。


        つづく