火とぼし山

[童話]火とぼし山


火とぼし山 65


第六章 湖を泳ぐ娘 13


「次郎さん。ぼんやりして、どうしたの。具合で
も悪いの」
きよが、心配して聞きました。
「いや、なんでもない」
次郎が、ぼそっといいました。
その夜、きよは一人でしゃべっていました。


次の朝。
「次郎さん。今度はいつ会えるの」
きよが、いつものように聞きました。
「秋のとりいれが終わってからかな」
「そんなのいや。せめて、月に二度は会いたい」
きよは、自分の気持を次郎に伝えました。
「きよちゃん。今、野良の仕事が忙しい。だから、
無理だよ」


         つづく