火とぼし山

[童話]火とぼし山


火とぼし山 68


第六章 湖を泳ぐ娘 16


「きよちゃん。なぜわかるの」
「次郎さんが、大好きだからよ。だから、わか
るの。次郎さんには、その人と会う気はないか
もしれない。でも、その人、次郎さんが働いて
いるたんぼや畑へ、会いにくるでしょ」
次郎は、何もいえませんでした。
事実だったからです。


きよがいうように、みよは次郎が働いているた
んぼや畑へ、何度もやってきました。
次郎は、「会いにこないで」といえず、困って
いました。
みよは、働いている家の主人の姪だったからです。


        つづく