火とぼし山

[童話]火とぼし山


火とぼし山 72


第七章 新しい出発 2


しばらくすると、西山にぽっと小さな火が
ともりました。
「あっ、次郎さんだ。今日も火をたいてく
れたのね。ありがとう」
きよは、西山にともった小さな火をみてほ
っとしました。


しかし、何か変でした。
今日の火は、少し南によっているような気
がする。
気のせいかしら。
次郎さんがともしてくれた火だもの、まち
がいない。
あの火を目印に、泳いでいこう。
きよは、次郎がともしてくれた火をめがけ
て泳いでいきました。


         つづく