火とぼし山

[童話]火とぼし山


火とぼし山 78


第七章 新しい出発 8


「手長、もうやめよう。こんなことをしていると、
わしらまでうずにまきこまれてしまう」
「あなた。きよのために、もう少しがんばりまし
ょう」
「じゃあ、今度はあちら側をさがそう」


「あなた。うずにまきこまれないように、気をつ
けてね。それにしても、きよはどこへ行ってしま
ったのでしょう。淵の奥深く沈んでしまったのか
しら」
手長は、うずの中を、何度もかきまわしました。
しかし、何の手ごたえもありません。


        つづく