火とぼし山

[童話]火とぼし山


火とぼし山 81


第七章 新しい出発 11


すると、
「次郎さんが・・・」
「次郎がどうした」
「次郎さんがたいてくれた火が」
「きよ。火がどうしたのじゃ」


「火が南にともっていたの」
「何、火が南にともっていたと。きよ、それは、
ほんとか」
「はい。火が、いつもより南にともっていまし
た。泳ぐ方向を変えようと思ったとたん、うず
にまきこまれてしまいました」
「そうか。やっぱりそうだったのか」
「やっぱりって、どういうこと」
「次郎は、わざと別の場所で火をたいたのじゃ」
「わざと?」


         つづく