火とぼし山

[童話]火とぼし山


火とぼし山 84


第七章 新しい出発 14


「手長、足長。今日はご苦労じゃった。家にもど
って、ゆっくりお休み。きよのことは、心配する
な。後は、わしが世話をするから」
「じゃあ、明神さま、よろしくお願いします」
手長と足長は、家へ帰りました。


きよは、意識がもどらないまま、眠り続けました。
きよ。おまえは、次郎ひとすじじゃったのぅ。
結婚する前のおなごが、たった一人の男性を、十
数年も思い続けるなんてすごい。
普通のおなごは、「あの人が好き」「この人が好
き」と、いろいろな男に心をうばわれるものじゃ。


        つづく