火とぼし山

[童話]火とぼし山


火とぼし山 90


第七章 新しい出発 20


「やはり、きよは何もおぼえていないのですね。
自分の名前も、大好きだった次郎のことも、み
んな忘れてしまったなんて。かわいそうに」
手長は、きよの気持を思うとやりきれません。


「手長、足長。そういうわけなので、きよが眠
っている間に、静岡までつれていってほしい」
「はい、わかりました」
手長と足長は、ぐっすり眠っているきよを、静
岡までつれていきました。


         つづく