鹿になった観音さま

[童話]鹿になった観音さま


鹿になった観音さま 7


「ばたんっ」
大きな音をたて、鹿がたおれました。
「黄金色の鹿をいとめたぞー」
そうさけんだ時、鹿はどこかへ姿を消してしまい
ました。
あっという間のできごとでした。


「おかしいな。たしかに首に矢がささったのに」
三郎は、ふしぎなことがあるものだと思いました。
ぐさっと首にささったはずの矢は、地面に落ちて
いました。
矢には、べっとりと血がついています。


         つづく