鹿になった観音さま

[童話]鹿になった観音さま


鹿になった観音さま 13


「タケルとチハヤは、石になっていました」
「タケルとチハヤが、石に? 三郎さ、どう
いうことじゃ」
愛犬が石になってしまったと聞き、和尚はお
ろおろしています。
「わしにもさっぱりわかりません。和尚さま、
後で裏山へ行ってみましょう」
「じゃあ、まず、観音さまを、本尊にお供え
しよう」


二人は、本堂へ行きました。
「あっ」
和尚が、大きな声をあげました。
「どうしたのですか。和尚さま」
「三郎さ、みてごらん。十一面観音の頭から、
小さな観音さまが一つ消えている」


         つづく