鹿になった観音さま

[童話]鹿になった観音さま


鹿になった観音さま 17


「観音さま。身の危険を感じたとはいえ、わ
しは観音さまの化身である鹿に矢をむけてし
まいました。どうか、わしをお許しください。
今まで、わしは、たくさんの鹿を殺しました。
なんて罪深いことをしていたのでしょう。今
日限り、鹿狩りをやめます。弓をひくことも
やめます。観音さま、どうかわしをお許しく
ださいませ」
三郎は、観音さまの前で許しをこいました。


「さあ、三郎さ。石になってしまったタケル
とチハヤを、裏山へ迎えにいこう」
和尚と三郎は、裏山へいそぎました。
「三郎さ。タケルとチハヤは、どこじゃ」
「和尚さま、ここです」


        つづく