鹿になった観音さま

[童話]鹿になった観音さま


鹿になった観音さま 18


大きな杉の木の根元に、犬の形をした二つ
の石がころがっていました。
「タケル、チハヤ。なぜ石になってしまっ
たのじゃ」
和尚は、石になってしまったタケルとチハ
ヤを、何度もなでました。
そして、二匹の犬にお経をあげました。
二人は、石になった犬たちをつれて、寺へ
帰りました。


二週間後。
三郎が、寺にやってきました。
「三郎さ。この間は、世話になったのぅ」
「和尚さま。タケルとチハヤが石になって
しまい、さみしいでしょう」


        つづく