[童話]瑠璃寺の青獅子
瑠璃寺の青獅子 3
「薬師如来が?」
「そう、まばゆいばかりの薬師如来が、木々
の間からすぅーとあらわれたそうじゃ。その
神々しい姿をみた観誉僧都は、いたく感激さ
れてのぅ。それで、この市田に瑠璃寺を建て
たといわれている」
和尚は、寺のいわれを男に話しました。
男は、和尚の話を興味深げに聞いています。
「それはそうと、そなたはいったい何者じゃ」
「わしかね。わしは、名もない京の仏師じゃ。
旅をしながら、あちこちの寺で、仏像を彫ら
してもらっている。和尚さま。わしに、仏像
を彫らしてもらえないだろうか」
男が頼みました。
つづく