瑠璃寺の青獅子

[童話]瑠璃寺の青獅子


瑠璃寺の青獅子 16


不動明王さま。これから、獅子頭の荒彫り
を始めます。木の中から、元気な獅子があら
われますように」
男は、そう祈りました。
そして、滝にうたれ身を清めました。


小屋へもどった男は、木の前で何度も深呼吸
をし、心を静めました。
「獅子よ。これから、荒彫りを始めるぞ」
そう声をかけ、男は木を彫り始めました。
「こっ、こっ、こっ」
木を彫る音だけが、小屋にひびきます。


        つづく