赤い夕顔の花

[童話]赤い夕顔の花


赤い夕顔の花 7


そんな盛永でしたが、奥がたのお万とこども
の長五郎には、やさしく接していました。
そして、もう一人、小姓の犬坊にも。
「どちらがほんとの盛永さまなのかしら。城
主だったら、まず領民のことを考えてほしい」
お万は、心の中でそっとつぶやきました。
そして、「盛永さまが、領民のことを考えられ
るやさしい人になれますように」と祈りました。


盛永が城主になって五年後。
天文十三年(1544年)秋。
月のきれいな夜でした。
権現城では、月見の宴が開かれていました。
「今宵の月は、美しいのぅ」
盛永は、ごきげんでした。


         つづく