赤い夕顔の花

[童話]赤い夕顔の花


赤い夕顔の花 23


盛永は、目の前で燃えている城をみて、心の
中でつぶやきました。
「殿様、どうかなさったのですか」
犬坊が心配して聞きました。 
「犬坊。戦とは、むなしいものじゃのう」
「ほんとにむなしいですね」
燃えている城をみて、犬坊がしんみりいいま
した。


「犬坊。家臣たちは、無事に逃げることがで
きただろうか」
盛永は、家臣たちのことを心配しました。
「殿様が、家臣たちのことを心配している。
こんな殿様をみたのは、初めてだ。城が焼け
てしまったので、殿様は気が弱くなっている
のだろうか」
犬坊は、盛永のことが心配でした。


         つづく