赤い夕顔の花

[童話]赤い夕顔の花


赤い夕顔の花 25


「犬坊。三年前、おまえに会ったのは、この小
屋の近くだったのぅ」
「殿様、よくおぼえていますね。あれは、殿様
が鹿狩りをしていた時でしたね」
「おまえは、わしが追っていた鹿を、たった一
本の矢で射止めた。すごい少年がいるものだと
びっくりした」


「私は、おじから弓とやりを習いました。おじ
は、若い時、ある藩につかえていました。私は、
弓とやりだけは、誰にも負けません」
「だから、わしの小姓になってもらったのじゃ。
おまえは、城へ行くのはいやだといったそうじ
ゃのぅ」
「はい。私は、おじとともに、畑を耕しのんび
り暮らしたいと思っていました。だから、おこ
とわりしたのです」


         つづく