赤い夕顔の花

[童話]赤い夕顔の花


赤い夕顔の花 27


「私は、殿様の身近にいたので、殿様の良い
所も悪い所も知っております。領民や家臣た
ちから、殿様のことを聞くたびに、なぜ領民
のことを思いやることができないのだろうと、
残念に思いました。もう少し領民のことを考
えてほしい、そう思いました」
「犬坊、なぜそういってくれなかったのじゃ」


「私がいうべきことではありません。私は、
領民のことを考えられる心のやさしい殿様に
なれますようにと、毎日祈っておりました」
「わしのことを、そんなふうに祈ってくれて
いたのか。ありがとう」
「さあ、殿様。少しお休みください」
疲れていた盛永は、いびきをかいて眠ってし
まいました。
犬坊も、盛永のそばで横になりました。


        つづく