2020-01-03 赤い夕顔の花 童話 [童話]赤い夕顔の花 赤い夕顔の花 29 私は、盛永さまに「少しは領民のことも考 えてください」と、なぜいえなかったのだ ろうか。 犬坊は、盛永につかえた三年間を思い出し、 複雑な気持になりました。 どのくらいの時間がすぎたのでしょうか。 「お万。お万は・・・無事か」 眠っているはずの盛永が、ぽつりといいま した。 「殿様」 「殿様」 犬坊が、盛永に声をかけました。 盛永は、ぐっすり眠っています。 「お万」ということばは、盛永の寝言だっ たのでしょうか。 つづく