赤い夕顔の花

[童話]赤い夕顔の花


赤い夕顔の花 48


「そうべえさん。この家のかたにお願いして、夕
顔の花を一つ分けていただきましょう」
「奥がたさま。そんなことをしてはいけません。奥
がたさまだということが、ばれてしまいます。黙っ
て、一つだけ花をいただきましょう」


「そうべえさん。それでは、どろぼうになってしま
います。たとえ、夕顔の花一つでも、だまって人
の物をとってはいけません」
お万が、そうべえにいいました。
「奥がたさま。こんな時ですから、しかたがありま
せん」


        つづく