赤い夕顔の花

[童話]赤い夕顔の花


赤い夕顔の花 52


「ほんとのことをいって、何が悪い。ひどい殿様だ
と、みんなうわさしているぞ。殿様は、領民たちか
らきびしく年貢をとりたて、三つも城をつくったそ
うではないか。城なんか一つあればいいのに、何
で三つも城をつくるのじゃ。わしには、ようわからん」
おばあさんがいいました。


おばあさんのことばを聞き、お万は「私も、盛永さ
まの気持がわかりません」と、心の中でつぶやきま
した。
「殿様は、鹿狩りの最中、鉄砲や弓で何人もの人
にけがをさせたそうじゃのう。不注意なのか、それ
ともわざとやっているのか。困った殿様じゃ。みん
な山へ行くのをこわがっているぞ」


           つづく